介護の夜勤をしていると、色々と不思議な光景に出くわします。
中でも、どうしていいか分からず頭を抱えるのが、静まり返った深夜のフロアにずっと響き渡る「終わらない独り言」です。
今回は、そんな夜勤中の「どうにもならないリアル」について、少しボヤかせてください。
謎の無尽蔵なスタミナ
どこからその体力が湧いてくるのか、本当に一晩中しゃべり続けている方がいます。
昼間にたっぷり寝てしまったから、夜眠れない。それは分かるんです。でも、それにしても話し続けるスタミナがすごい。
聞き取れないような言葉で、ずっと何かをブツブツと話し続けている。それが何時間も続くわけです。
医者が指示した「頓服」すら効かない
もちろん、ただ放置しているわけではありません。
あまりにも寝付けない時は、医師から指示されている「頓服(睡眠薬)」を飲んでもらうこともあります。
「これで少しは寝てくれるかな」と思うじゃないですか。でも、これがまあ効かない。
薬を飲んでしばらく経っても、普通に起きて喋り続けています。医者が処方した薬すらあっさり貫通してくるそのパワーには、本当に驚かされます。
「あ、いたの?」という一番の謎
様子が気になって部屋へ入ると、それまでずっと喋っていた声がピタッと止まることがあります。
そして、こちらを向いて「あ、いたの?」と普通に声をかけられたりするんです。
こっちは「えっ、じゃあ今まで誰と喋ってたの…?」とちょっと不思議な気持ちになるわけですが、ご本人はケロッとしています。
笑顔で挨拶をしてくるわけでもなく、ただ「あ、いたの?」。
そもそも、ちゃんと目を開けて起きているのか、それとも寝言の延長で喋っているのかすら分からない状態です。
解決策? ないよそんなもん(笑)
ネットで「介護 夜間 独語 対応」なんて検索すると、こんなことが書いてあります。
「温かい飲み物を提供して安心させましょう」「優しく手を握って寄り添いましょう」
でも、現場のリアルはそんなに甘くありません。
睡眠薬すら効かない状態の人に、温かいお茶を一杯飲ませたところでどうにかなるわけがないんです。
じゃあ結局どうするのかといえば、本人の体力が尽きて寝落ちしてくれるのをひたすら待つ。それだけです。
朝になれば魔法のように解決する、なんていうのも幻想で、丸一日喋り続けていることも普通にあります。
恐怖の「連鎖」と、プロとしての確認
夜勤者がこの「終わらない独り言」に頭を抱える最大の理由は、ご本人だけの問題ではないからです。
静まり返った夜のフロアでは、声がよく響きます。「頼むから、隣の部屋の〇〇さんを起こさないでくれ…!」というプレッシャーは、夜勤をやったことがある人なら絶対に分かってもらえるはずです。一人が起きると、次々と他の利用者さんも起きてしまう「不穏の連鎖」は、夜勤における最大のホラーです。
もちろん、私たちもただ放置して諦めているわけではありません。
「もしかしてオムツが気持ち悪いのか?」「どこか痛いのか?」「熱があるのか?」といった、身体的な不快感やトラブルがないかは一通りチェックします。
でも、オムツも綺麗、熱もない、どこも痛がっていない。やれることを全部やった上で、それでも喋り続けている。だからこその「お手上げ」なのです。
夜中3時を過ぎると「BGM」になる
不思議なもので、何時間もその声を聞きながら記録を書いたり他の仕事をしていると、だんだん脳がその独り言を「環境音」として処理し始めます。
最初は「また喋ってるな…」と気になっていたのが、深夜3時を回る頃には、夏の夜のカエルの合唱や、波の音と同じような「フロアのBGM」へと変わっていくのです。
人間の適応能力ってすごいですよね。
「どうにもならない」を受け入れる
介護の仕事をしていると、つい「なんとかしてあげなきゃ」とか「自分が解決しなきゃ」と焦ってしまうことがあります。
でも、「どうにもならない時は、どうにもならない」んですよね。
無理に寝かせようと焦るのをやめて、「まあ、本人の体力が切れるのを待つか」と腹をくくる。そういう割り切りも、夜勤を乗り切るための大事なスキルだと思っています。
さて、今日もまたあの終わらない独り言と付き合うために、しっかり自分の体力を温存して夜勤に行ってきます。
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