【第2回】手厚い介護は正解か。実習生の言葉から辿り着いた北欧の「究極の自立支援」

介護職のリアル

「ベトナムには、まだこういう綺麗なお年寄りの施設は少ないんです。みんな家で家族が見ますから」

ベトナム人の技能実習生がぽつりとこぼしたこの言葉が、頭の片隅から離れませんでした。

40代になり、グループホームの現場で働きながら当たり前のように受け入れていた「施設でケアをする」という日本の常識は、世界から見れば決して当たり前ではないのかもしれません。

では、世界で最も介護が進んでいると言われる国々は、どのようなアプローチをとっているのでしょうか。 今回は、調べていく中で大きな衝撃を受けた、北欧・スウェーデンの「究極の自立支援」についてまとめてみます。

寝たきりを作らない、スウェーデンの「24時間訪問介護」

北欧と聞くと、税金が高い代わりにゆりかごから墓場まで手厚い福祉が受けられる、というイメージを持つ方が多いと思います。 私もそうでした。しかし、実際のケアの考え方は、日本の現場とは大きく異なっていました。

徹底して「自分でやってもらう」という哲学

スウェーデンの介護の根底にあるのは、「最後まで自宅で、自分らしく生きる」という強い理念です。 そのため、施設に入所するのではなく、24時間体制の訪問介護を組み合わせながら、可能な限り自宅での生活を継続します。

驚いたのは、ホームヘルパーの役割です。 日本では、掃除や洗濯、食事の準備など、利用者さんができないことを「代わりにやってあげる」のが一般的です。

しかしスウェーデンでは、時間がかかっても、不格好になっても、徹底して「本人にやってもらう」ことを基本としています。 ヘルパーはあくまで、そのサポート役に徹するのです。

「手厚いお世話」が美徳とされる日本のジレンマ

この違いを知った時、日々の業務を振り返らずにはいられませんでした。

掲げられる「自立支援」と、つい手を出してしまう現実

日本の介護現場でも、もちろん理念としては「自立支援」が強く謳われています。 できることはご自身でやっていただくのが基本だと、私たちも頭ではわかっています。

しかし、慢性的な人手不足や日々のタイムスケジュールの関係で、現場ではどうしても効率を優先し、つい職員が手を出してしまいがちです。 「ご自身でボタンを留めるのを5分待つ」よりも、「職員が1分で留めてあげる」方が、業務としては圧倒的に早く進むからです。

私たちが良かれと思って、あるいは効率のために行っている「手厚いお世話」。 もしかするとそれは、ご自身でできるはずの能力を、私たちが日々奪ってしまっているのではないか。そんな戸惑いを感じました。

40代の介護職として考える、本当の優しさ

「危ないから座っていてください」「私がやりますから貸してください」。 現場で一日に何度も口にする言葉です。

もちろん、転倒のリスクを減らし、安全に生活していただくことは最優先事項です。 しかし、北欧の「失敗するリスクを背負ってでも、本人の自立を尊重する」という姿勢には、人間としての尊厳を守るという確固たる覚悟を感じます。

ベトナム人実習生の素朴な疑問から始まった、世界の介護事情への興味。 北欧の徹底した自立支援の理念は、日々の業務に追われる私に「本当の優しさとは何か」を問い直すきっかけをくれました。

次回は、手厚い福祉の北欧から一転し、自由の国・アメリカのシビアな介護事情について目を向けてみます。

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このサイトを運営している【よしほに】と申します。
離婚で全てを失い、通帳残高0円からスタートした介護職3年目です。
夜勤明けの重い体を引きずりながら、「なんとか3年」生き延びてきました。泥臭い日常ですが、40代から人生を立て直すための家計管理や、現場で役立つ愛用品を綴ります。
「どん底からでも、一歩ずつ。」同じ空の下で踏ん張るあなたへ届きますように。
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