介護職のアンガーマネジメントは綺麗事じゃない!顔を叩かれた私の本音と「怒り」の鎮め方

介護職のリアル

※この記事について 本記事は、現役グループホーム介護職員である筆者個人の経験と葛藤を綴ったものです。特定の疾患に対する医療的な診断や、絶対的な治療・対応法を示すものではありません。あくまで「現場の一つのリアル」としてお読みください。

こんにちは。40代、バツイチ介護士のよしほにです。

介護の現場、特に認知症の方と向き合っていると、綺麗事だけでは済まない瞬間が多々あります。

研修や専門書でよく見かける「アンガーマネジメント」。

「イラッとしたら深呼吸しましょう」

「心の中で6秒数えましょう」

……。

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よしほに

至近距離で顔や頭を叩かれた瞬間に、深呼吸なんてできるわけがない!

今回は、教科書通りの方法が全く通用しないリアルな介護現場で、私がどのように「心底イラつく自分」と折り合いをつけ、心を守っているのか。綺麗事を抜きにした本音を書きたいと思います。

毎日現場でストレスと戦っている介護職の方の、少しでも気が楽になれば嬉しいです。

「ウルセーバカ!」と飛んでくる手。心底イラッとする自分は失格か?

食事介助やトイレ介助など、特定の場面に限ったことではありません。 何に対しても、テンプレートのように「ウルセーバカ!」と拒否の言葉が返ってくる利用者様がいます。

日によって機嫌の落差も激しく、昨日は穏やかに笑っていたのに、今日は目が合っただけで罵倒されることも珍しくありません。

体なら耐えられても「顔や頭」は別問題

仕事中、腕や肩を叩かれることは何度もあります。 これは正直、経験を重ねるうちに「仕事柄、仕方ない」とある程度は流せるようになりました。

しかし、顔や頭に手が当たった瞬間。

その時だけは、どうしても心底イラッとしてしまう自分がいます。 人間としての尊厳を土足で踏みにじられたような、惨めさと怒りがドロドロに混ざった感情。

「こっちは一生懸命サポートしてるのに、なんでそこまでされないといけないんだ!」と、理性の糸がプツンと切れそうになります。

でも、安心してください。 これは、現場の最前線に立っている人間なら誰しもが抱える「正当な感情」です。イラつく自分が介護職として失格なわけでは決してありません。

怒りの連鎖を止めた「あるジレンマ」への気づき

何度もこうした理不尽な場面を経験するうちに、私の中でなんとなく考えるようになったことがあります。

相手も「思い通りにいかないジレンマ」の中にいる

私は「介助がスムーズに進まないこと」にイライラしていました。 でも、よく観察してみると、利用者様自身も猛烈なジレンマの中にいるのではないでしょうか。

  • 自分の気持ちを適切な言葉にできない

  • 不快感をどう伝えていいか分からない

  • 自分の体が思うように動かない

このやり場のないもどかしさが、本人も望まない形で爆発している。 そして、その方が唯一口に出せる「拒否のテンプレート」が、「ウルセーバカ!」という言葉だったのだと。

「この人も、私と同じように『思い通りにいかないこと』に腹を立てて、苦しんでいるのかもしれない」

そう気づいた時、少しだけ見え方が変わりました。 もちろん叩かれればムカつきますが、相手の背景を想像することで、反射的に怒りをぶつけ返す自分に少しだけブレーキをかけられるようになったのです。

自分の心を守るための「2つの自衛テクニック」

それでも、感情的な言葉を浴び続けて「もう無理!」となる時は必ずあります。そんな時、私は自分の心を守るために以下の方法をとっています。

1. 「スタッフ交代」で物理的な距離を置く

お互いの安全と、心の平穏のために、他にスタッフがいればすぐに代わってもらいます。 これは「相手のため」以上に、「これ以上、自分が相手を嫌いにならないため」の賢い選択です。無理に一人で抱え込む必要はありません。

2. 感情をオフにする「観察者モード」

夜勤などで、どうしても一人で対応し続けなければならない時。 まともに一人の人間として感情を受け止めると、こちらの心がボロボロに壊れてしまいます。

そんな時は、あえて心の中で「観察者モード」にスイッチを切り替えます。

「一人の人間」としてまともに向き合うのを一度やめ、失礼を承知で、「未知の事象を観察する研究者」のような冷めた視点に立つんです。

「あ、今はこういう怒りのスイッチが入っているんだな」 「脳のこの部分の機能が落ちているから、この反応が出るんだな」

こんな風に、感情を排した「単なる事象」として眺める。 冷たいようですが、これが現場で自分自身を壊さないための自衛技術です。心まで相手のペースに飲み込まれる必要はありません。

まとめ:完璧な仏になんてならなくていい。今日もしぶとく生き延びよう

介護職だって、血の通った人間です。 叩かれれば腹が立つし、理不尽なことを言われれば深く傷つきます。

私たちにとってのアンガーマネジメントの本質は、怒りを完全に消し去ることではなく、「自分の心を守る術(引き出し)をいくつ持っているか」だと私は思っています。

「ああ、今日も相手も自分もジレンマと戦ってるな。一旦離れて、別の視点に切り替えよう」 そうやって、現場の嵐が過ぎ去るのをじっとやり過ごす。正直、現場でできるのはこれくらいです。

私たちは感情のある人間であって、仏様じゃありません。

顔を叩かれて怒る自分を「介護職失格だ」なんて責めるのはやめて、今日もしぶとく、なんとか生き延びてやりましょう。

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このサイトを運営している【よしほに】と申します。
離婚で全てを失い、通帳残高0円からスタートした介護職3年目です。
夜勤明けの重い体を引きずりながら、「なんとか3年」生き延びてきました。泥臭い日常ですが、40代から人生を立て直すための家計管理や、現場で役立つ愛用品を綴ります。
「どん底からでも、一歩ずつ。」同じ空の下で踏ん張るあなたへ届きますように。
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